(2023.06.16)
自然栽培のお米を原料に
お酒造りを調べているうちに
この書籍に突き当たりました。
はじめに
微生物から、生き方を学ぶ
子どもの頃から、
「どうして争いがなくならないのだろうか」
「争わなくても、生きていくことができないものだろうか」
と思ってきた。学生時代には、平和運動や学園闘争にも参加したが、
戦争に反対するセクト同士までもが対立し、
争ってしまう現実に愕然とした。
どうしてだろう。なぜだろう。人と人が争うことが、不思議でならなかった。
「こんなひどい世の中になろうとは、想像もつかなかった」
近所に住む老人が嘆く。
テレビは毎日のように凶悪事件を報じ、いじめや暴力、恐喝は、
日本中どこでも起こっている。
見ず知らずの人への無差別殺人も、あとをたたない。
家庭の根幹をなす親子関係もが壊れ、親殺し、子殺しへとエスカレートしてきた。
世界中、紛争や飢餓、貧困、病気はやむことはない。
自然破壊、環境汚染も加速度的に進んでいる。
老人が言うように、不幸がどんどん広がっている。
広がっている不幸は、世界などという外の話ではなかった。
私自身、身から出たさびで体を壊し、会社を倒産寸前にしてしまった。
どうしてだろう。なぜだろうとふたたび思うようになった。
何か大切なものを見落とし、間違った方向に進んできたのではないだろうか。
そう考えたとき、発酵醸造を生業とする私自身の世界を見つめた。
発酵醸造という微生物の世界。
その世界は互いに支えあって生きる、相互扶助の力が大きく作用している。
微生物の世界は「愛と調和」で成り立っていた。
それを見て、
「人間も微生物のように、発酵しながら生きれば、争わなくても生かされる」
ことを確信した。
目には見えない小さな生き物である微生物が、
自然を学ぶうえで大きな手がかりとなった。
微生物の世界は、生き物の世界。
生き物の世界は、自然界。
そもそも自然というものは、なんだろう。
自然の仕組み、働き、力は、どうなっているのだろう。
自然界には法則がある。
その法則をきわめようとした近代科学は、
逆に自然界そのものから離れていったのではないのか。
自然から遠ざかれば遠ざかるほど、
不幸や病に近づくことになったのではないか。
その学びを進めるうちに、
「発酵」と「腐敗」という二つのファクターが、
すべての物事を考えるものさしとなり、
自分自身が生きるうえでの指針にもなっていった。
やっと見つかった。
うれしかった。
論語の「朝(あした)に道を聞かば、夕べに死すとも可なり」の心境だ。
涙が止まらなかった。
混迷する世を救い、
人として進むべき道を明らかにしてくれる鍵が、
微生物の暮らし方のなかには、いっぱい隠されていた。
人類が本当の平和、健康、幸福を達成する方法も、
そこにあるのではないかと思う。
即席の酒造りをやめて自然酒造りに転向し、
発芽玄米酒を製造する過程で、
目に見えない生命、微生物に出会った。
彼らから学んだことがたくさんのことを、
ここに記そうと思う。
微生物の生き方が、
この本を手にしてくれた方々のお役に立つことを願って。
(※発酵道 「寺田本家」二三代目当主 寺田啓佐 河出書房新社 からの引用)
久しぶりの吸い込まれるように読み切れた本著です。
とてもおススメの一冊です。
よかったらチェックしてみてください。
ありがとうございます。
🙏