「北回帰線」ヘンリー・ミラー 大久保康雄訳 新潮文庫

(2019.08.29)

「北回帰線」ヘンリー・ミラー 大久保康雄訳 新潮文庫

ヘンリー・ミラーの北回帰線。
聞いたことはあったが手にとるチャンスはなかったです。
松浦弥太郎さんが著書のなかで薦めていたので、
アマゾンでポチッと買ってあったのを結構時間をかけて読みました。

◇「北回帰線」ヘンリー・ミラー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E5%9B%9E%E5%B8%B0%E7%B7%9A_(%E5%B0%8F%E8%AA%AC)

◇ヘンリー・ミラー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%A9%E3%83%BC

小説かといわれたら小説っぽくなく
独自のヘンリー・ミラー文学といえると思います。
「これが小説か!?」
と言った批評家がいたそうです。
確かに小説なのか、エッセイなのか、自叙伝なのか空想の物語なのか。
文体も内容も凝縮した感じが最初は読みづらく思うのですが、
そこが魅力に変わっていく感じがとても新鮮でした。

舞台はフランス・パリ。
性描写も多いのも特徴ですね。
官能的ではなく哲学的といえるんです。
その時代(1930年頃)のパリの路地裏の混沌を描いています。

特に筋がなく話が進んでいくのですが、
ページぎっしりに文章は詰まっており、
最初はそこに戸惑い、何度かストップしてしまいました。

アメリカ人目線のパリを書いており、
聞いたことのある街の名前であったり、芸術家の名前が出てきます。
シャンパンやカルヴァトス、ペルノなどのお酒や、アイテムの名前。
それらが想像力を沸かせてくれました。

ヘンリー・ミラーの体験や思いが詰まった、
むき出しの人生観、芸術論を描いた自叙伝的な作品だと思います。

結婚と離婚を繰り返し、
最後の妻が日本人というエピソードもあり、
奔放自在な人生だったようです。

気になったかたは是非!手にとってみてください。

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