「不道徳教育講座」三島由紀夫 角川文庫

(2019.11.05)

「不道徳教育講座」三島由紀夫 角川文庫

三島由紀夫を久々に読みました。
タイトルに惹かれての購入。
三島は読んだ本読まない本はありますが、
この本は知りませんでした。

ウイットに跳んでいるのか冗談なのか、いや本音なのか。
そんな感じがとても面白いと思います。

・知らない男とでも酒場に行くべし
・教師を内心バカにすべし
・大いにウソをつくべし
・泥棒の効用について
・処女は道徳的か?
・女から金を搾取すべし
・友人を裏切るべし
・できるだけ自惚れよ
・罪は人になすりつけるべし
・先生を教室でゆするべし
・痴漢を歓迎すべし
・人の恩は忘れるべし
・毒のたのしみ
・ケチをモットーにすべし
・批評と悪口について
・公約を履行するなかれ
・人の失敗を笑うべし
・小説家を尊敬するなかれ
・桃色の定義
・自由と恐怖
・人に尻尾をつかませるべし
・肉体のはかなさ
・人を待たせるべし
・人のふり見てわがふり直すな
・言葉の毒について
・ニセモノ時代
・恋人を交換すべし
・おわり悪ければすべて悪し

見事にふざけたタイトルが並びます。
これ全部ではなく、面白いと思ったものをピックアップしました。

『不道徳教育講座』は、昭和33年(1958)「週間明星」に連載され、
翌34年(1959)4月、中央公論社から単行本で刊行されたものだそうです。
本書は昭和42年(1967)11月に刊行された角川文庫版の再録による新装版です。

解説にもありますが、
三島由紀夫は真面目な人間ですが、
直に交際してみると、唐変木の石頭的な真面目さとは全く違い、
よくしゃべり、よく遊び、よく食べ、よく笑う、
まことにたのしい青年だそうです。

話はいつも機智に、エスプリに、ユーモアにみちており、
単なる冗談に終らず人生や社会や文学の本質を鋭く逆説的に言いあてていたそうです。

しかし書こうとはせず、そんな気のきいた作品がなかったところ、
三島の小説にはあらわれない座談における機智や逆説の遊びが、
この『不道徳教育講座』には充分に発揮されているようです。

まさにその通りで、
この作品は楽しく読むことができました。

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